成年後見|成年後見制度とは

成年後見制度とは

成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害、事故の後遺症などの精神上の障害(×身体の障害)の理由で判断能力の不十分な方々を保護し、支援する制度です。

判断能力が不十分な場合、不動産や預貯金などの財産を管理したり、身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、自分でこれらのことをするのが難しくなります。

また、自分に不利益な契約であっても、よく判断ができずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害にあうおそれもあります。

このように、様々な不利益が被らないよう支援するための制度が、成年後見制度です。

成年後見制度を利用するには、家庭裁判所への申立てが必要になります。
申立ての手続きの準備に約1か月~2か月、申立てをしてからも半年程度の時間を要します。
少しでもスムーズな手続きをするために、成年後見制度に詳しい司法書士事務所等を利用することをオススメします。

当事務所では成年後見に関するご相談や申立てのほか、成年後見人をお引き受けすることができます。まずは、お気軽にご相談ください。

成年後見手続きの流れ

任意後見と法定後見

成年後見制度は、「現在」判断能力が十分あるけれど将来に備える場合の「任意後見制度」と、「すでに」判断能力が低下してしまった方を守るための「法定後見制度」の2種類があります。

任意後見と法定後見の違い

任意後見制度の利用例

成年後見制度などの法定後見制度は、すでに認知症等により判断能力が低下してしまっている方を守るための制度ですが、将来にそなえて信頼できる方に後見人になってもらうことをあらかじめ約束しておく「任意後見(制度)」というものもあります。

つまり、任意後見制度は、本人が、まだ十分な判断能力があるうちに、将来の判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ、自らが選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与えておく契約(任意後見契約)を公証人の作成する公正証書で結んでおくというものです。

任意後見

そうすることで、将来、本人の判断能力が低下した後に、任意後見人が、任意後見契約で決めた事務について、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」の監督のもと本人を代理して契約などをすることによって、本人の意思にしたがった適切な保護・支援をすることが可能になります(法務省ホームページより)。

例えば、次のように任意後見制度を利用することが考えられます。

本人(Aさん)は、長年にわたって自己の所有するアパートの管理をしていましたが、将来、判断能力が低下した場合に備えて、長女Bさんとの間で、任意後見契約を結びました。

その数か月後、本人Aさんは脳梗塞で倒れ、左半身が麻痺するとともに、認知症の症状が現れ、アパートを所有していることさえ忘れてしまったため、任意後見契約の相手方である長女Bさんが、任意後見監督人選任の審判の申立てをしました。

家庭裁判所の審理を経て、ある弁護士Cさんが任意後見監督人に選任されました。

その結果、長女Bさんが任意後見人として、アパート管理を含む本人Aさんの財産管理、身上監護に関する事務を行い、これらの事務が適正に行われているかどうかを任意後見監督人Cさんが定期的に監督するようになりました。

任意後見続き

成年後見制度の利用例

Bさんは、5年程前から物忘れがひどくなり(アルツハイマー病)、勤務先の直属の部下を見ても誰なのかわからなくなるなど、次第に社会生活を送ることができなくなりました。

日常生活においても、家族の判別がつかなくなり、その症状は重くなる一方で、回復の見込みはなく、2年前から入院しています。
ある日、Bさんの弟が、突然事故死し、Bさんが弟の財産を相続することになりました。

しかし、弟には借金しか残されておらず、このままではBさんが弟の借金を引き継いでしまうことになります(「相続」とは、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も包括的に引き継ぐものだからです。)。

このような場合、Bさんが「相続放棄」をすれば、最初から相続人ではなかったことになるので、借金を引き継がなくてよいことになりますが、相続放棄は、家庭裁判所に対してしなければならず、また、十分な判断能力がなければ相続放棄の意思表示をすることができません。

困ったBさんの妻Aさんは、司法書士に相談し、Bさんの相続放棄のために、後見開始の審判を申し立てることにしました。

法定後見の例

家庭裁判所の審理を経て、Bさんについて後見が開始され、Bさんの財産管理や身上監護(しんじょうかんご)をこれまで事実上になってきたAさんが成年後見人に選任され、AさんはBさんの相続放棄の手続をしました。
これにより、Bさんは、弟の借金を引き継がずにすむことになりました。
なお、本人の判断能力の程度により、「後見」のほか、「保佐」「補助」の制度があります。

法定後見の違い

成年後見人の仕事

成年後見人等は、本人の生活・医療・介護・福祉など、本人の身のまわりの事柄にも目を配りながら本人を保護・支援します。

しかし、成年後見人等の職務は、本人の財産管理や契約などの法律行為に関するものに限られており、食事の世話や実際の介護などは、一般に成年後見人等の職務ではありません。

また、成年後見人等はその事務について家庭裁判所に報告するなどして、家庭裁判所の監督を受けることになります(法務省ホームページより)。

本人の財産管理

本人の資産・負債・収入・支出を把握し、本人のために必要な支出を計画的・臨機応変に行いながら、本人の資産を維持・管理すること、

  • 重要な財産や通帳・不動産の権利証などの保管
  • 収入(年金・保険など)の管理・支出(生活費・公共料金、税金、保険料など)の管理
  • 不動産などの重要な財産の保存・管理・処分など
  • 支出や財産処分等の可否判断(家庭裁判所の許可を要する場合がある)

本人の身上監護

介護契約・入所契約の締結など本人の生活や療養監護に関すること

  • 老人ホームなどの施設への入居契約の締結・入退所の手続き・費用の支払いなど
  • 介護サービスの契約締結・費用の支払い、介護保険の利用など
  • 借地借家の賃貸借契約締結・家賃地代の支払いなど
  • 医療機関の受診・治療・入院などの契約締結・費用の支払いなど

家庭裁判所への報告

家庭裁判所の監督を受けること

  • 就任したらすぐと、約1年に1回
  • 本人の財産が大きく変動したとき

成年後見人の仕事ではないもの

  • 毎日の買い物、食事の世話、実際の身体への介護
  • 賃貸借契約の保証、入院・施設入所の際の身元保証・身元引き受け
  • 治療・手術・臓器提供などについての同意
  • 遺言・養子縁組・離縁・認知・婚姻・離婚などの意思表示
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